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5月, 2010の投稿を表示しています

糖尿病の新しい診断基準

本日まで岡山でおこなわれている糖尿病学会で糖尿病の新基準が示された。 今までは下記のような基準だった。 ①空腹時血糖値126mg/dL以上 ②75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上 ③随時血糖値200mg/dL以上 上記のいずれかが2回以上認められるときに糖尿病とする。 HbA1cは参考所見のみで診断できない。 それが、 ④HbA1c値は6.5%以上(6.1%以上[JDS値]) という項目が加わった。ただし、1回はHbA1cの基準を満たしても、もう1回は上記①~③のいずれかを満たさないといけない。よく用いられるHbA1cの位置づけは上がったけど、それだけでは診断できず、あくまで従来の基準は1回は必要とのこと。 あと、①~③を1回満たして、網膜症など明らかな症状があれば、それで糖尿病との診断になるとのこと。実際的ですね。 それと「JDS値」。これはHbA1cは日本と海外では違った測定方法がなされており、日本のものだとJDSになる。0.4%低く出るみたいです。将来的には国際基準であるNGSPにあわせるようだが、当面はわざわざJDSと書いて表記するみたい。 これって、今まで糖尿病の目安を6.5ってしてきたのが、6.1として捉えないといけないんだね。検査値の表記が早く国際基準になるよう希望します。混乱をうまないために。

関節リウマチは自己免疫性疾患?リウマチ性疾患?膠原病?

今日はタイトルにあるようにリウマチ性疾患、自己免疫性疾患について書いてみようと思います。他にもリウマチ、膠原病などいろんな言葉が飛び交い、いったい何が何なのかよくわからないと思います。これは医師でもきとんと用語が整理されていないからです。その理由はまだまだ原因不明で病気として確立しておらず、時代の流れとともにその呼称や分類が変化しているからだと思います。 みなさんがよく耳にするであろう「リウマチ」。関節が痛くて変形していくというイメージをお持ちでしょうか。これは正式には「関節リウマチ」という病気です。本来ならウイルス・細菌などの外敵から自分(自己)を守る免疫に異常が生じて、自分を攻撃してしまうようになる病気を「自己免疫疾患」といいます。関節リウマチは異常な免疫が主に自分の関節を攻撃してしまうので、自己免疫疾患の1つとされています。「自己免疫性疾患」は病気の原因で名付けているのですね。他の自己免疫疾患には、膠原病といわれている病気(後で述べます)、1型糖尿病、甲状腺の病気などがあります。 一方で、昔から関節があちこち痛む病気があることが知られており、これを「リウマチ性疾患」と言ってました。症状から付けた名前ですね。関節リウマチも関節があちこち痛むわけですから、リウマチ性疾患の1つとされています。有名どころでは痛風もあちこち痛いのでリウマチ性疾患の1つです。 そして最後に「膠原病」。これはKlempererさんという先生が1942年に皮膚組織の膠原線維(コラーゲン)が増える病気として発表しました。「膠原病」とは実は組織の特徴から付けた名前です(症状や原因は関係ありません)。最初は全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、強皮症、結節性動脈炎、多発性筋炎・皮膚筋炎、リウマチ熱(後に感染症と判明)の6疾患だとされていました。今はリウマチ熱を除いた5疾患(関節リウマチも膠原病なんです)と、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、ベーチェット病、リウマチ性多発筋痛症、血管炎症候群(ANCA関連血管炎、ウェゲナー肉芽腫症など)なども含めて膠原病と呼んでいます。 まとめると、原因から名付けた「自己免疫疾患」、症状から名付けた「リウマチ性疾患」、組織の特徴から名付けた「膠原病」。関節リウマチはそのどれにもあてはまっちゃうのです。 僕は原因が大事だと思うので「自己免疫疾患」と呼ぶよ...

特発性蕁麻疹

先日、京都で行われたアレルギー学会。特発性蕁麻疹に抗ヒスタミン剤というのは今までも常識的だったけど、いま策定中のガイドラインではもう少し踏み込んで第2世代以降の鎮静性の少ない抗ヒスタミン剤が推奨となるとのこと。考えてみれば当然だけど、皮疹に強い作用を持つけど鎮静性が強いものもある。両立するか効果を優先するか、この疑問に指針を示してくれたことになる。新ガイドラインが出たら読んでみよう。 ところで特発性蕁麻疹の定義って原因がはっきりしない蕁麻疹ってことだけど、これってとても多いと思う。この診断プロセスってまだまだあいまいなかんじだっだけど、診断も少し簡易なものになりそうなかんじです。

かぜ症候群~万病の元「かぜ」を予防しましょう~

医療ブログの第一歩。やはり患者さんへの発信でしょう。ということで、昨年書いた風邪のお話を載せておきます。冬に書いたものなのでちょっと時期外れですが。 ----- 『かぜ症候群~万病の元「かぜ」を予防しましょう~』  かぜがはやる季節です。日本人は平均して一年に五―六回かぜをひくと言われており、かぜをひいたことがない人はいないでしょう。 かぜといっても、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、たん、発熱など、様々な症状があります。実は、正式には「かぜ」という病名はなく、「かぜ症候群」として先ほどの様々な症状をきたす病気をまとめて呼んでいるのです。具体的には、咽頭炎(いんとうえん)、気管支炎、扁(へん)桃炎(とうえん)などの様々な病気が含まれます。  かぜの原因の約九割はウイルスによるもので、原因となるウイルスは二百種類を超えると言われています。インフルエンザもインフルエンザウイルスが原因で、広い意味ではかぜに含まれます。 こんな人は早めの受診を  持っている病気によって、かぜが重くなったり長引いたり、病状が悪くなる人もいます。次に該当する人は、かぜをひいたら必ず病院で受診しましょう。 ・肺気腫や肺線維症、肺結核、心臓弁膜症(まくしょう)などの診断を受けている人。 ・糖尿病や高血圧性心疾患、脳血管障害と診断されている人。 ・寝たきりの人や高齢者、免疫をおとすくすりを服用している人、感染に対する抵抗力が落ちている人。 ・気管支ぜんそくや腎炎で治療を受けている人。 かぜをひかない予防策  かぜは昔から「万病の元」と言われ、肺炎など重い病気を引き起こすきっかけにもなります。かぜの原因となるウイルスの多くは、寒くて乾燥したところを好みます。体力がなかったり、疲れがあったり、タバコで肺がいたんでいると、ウイルスに対する抵抗力がなくなります。ウイルスに対抗できるように、次のことに気をつけて予防に努めましょう。 ・手洗いやうがいをする。 ・必要に応じてマスクを着用する。 ・部屋を加湿する。 ・人混みは避ける。 ・睡眠を十分にとる。 ・暴飲暴食や偏食をしない。 ・タバコをやめる。 ・適度な運動で体力を維持する。 ・極端な厚着や薄着をしない。 ・インフルエンザワクチンの予防接種を受ける。 かぜの季節を乗り切れるようみなさんの健康をお祈りしています。