インフルエンザに有効な免疫療法
インフルエンザ治療についての座談会の記事を見た。
高病原性のH5N1に感染させたヒト・マクロファージを分析すると、季節性のH1N1やH3N2よりもTNF-αの分泌がLPS刺激によるものに匹敵するほど著明に亢進していたとのこと。これはすごいこと。LPSは陽性コントロールに用いるぐらい強い炎症反応を引き起こすから、それに匹敵するとはかなり強い炎症をおこすってこと。そこで炎症をかなり強く出すところに何か原因があると思い免疫調整を治療に加えることを提言されていた。
TNF-αって炎症のネットワークでは結構上流だな。これが上昇してるなら、じゃあTNF-α阻害薬をって訳にはならない。そんなこと、もってのほか。
そこで出てきてるのが抗炎症作用を持つPPARがらみ。PPARα作動薬のフィブラート系薬(ベザトールなどの高TG血症治療薬)、PPARγ作動薬のグリタゾン(アクトスとかの糖尿病薬)があがってた。そして意外に知られていないスタチン。スタチンって抗炎症効果があって血管炎症をコントロールして動脈硬化を防ぎ心血管イベントも抑制できる。コレステロール下げるだけではない。
そして最後にあがっていたのがマクロライド。僕は臨床現場でインフルエンザの症状重い人とか疑わしい人にはマクロライドをよく処方している。その根拠が述べられてた。インフルエンザってほとんどが気道上皮にいる。だからリレンザは吸入でも効く。タミフルとか使うと気道上皮のインフルエンザウイルスの発芽が抑制されて抗原となるインフルエンザウイルスが減る。ヒトは抗原(この場合インフルエンザウイルス)に向けて抗体産生して戦うんだけど、抗原が減ると真っ先に減るのがIgA。ちなみにIgGとかは少量の抗原でも産生される。話は戻って気道上皮でのIgAが減ったら、その分気道での免疫応答は弱くなる。これを補うのがマクロライド。マクロライドは気道上皮のIgAを増加させる作用がある。クリアランスもよくするし気道にとってよい作用をいろいろ持ってる。この説明はとても理にかないます。
これを読んでマクロライド併用にますます自信ができました。
でもその前にワクチンの普及に努めないとね。
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