Apple Watchで心電図

Apple Watch使っていますか?僕にとってApple Watchは気温や天気の確認、タイマー、予定の通知、メールや電話の通知、運動や健康トラッカーとしてなくてはならないものの1つになっています。もうすぐ日本でもApple Watchの心電図機能、不規則な心拍の通知機能が解禁されます。僕はアメリカにいるので一足早くにこれらの機能を使うことができています。医師の立場からこれらのツールの有用性を書いてみたいと思います。

Apple Watchの有用性が報告されている


とても信頼できる医学雑誌であるNew England Journal of Medicineに米国Stanford大学(すごく優秀で有名なところです)がApple Watchに関して論文を掲載しています。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1901183

ざっくりまとめるとスクリーニングとしては有用性はありそうって主旨です。ただ診断の確定には用いるべきではないと明確に述べられていることは大事なことです。その後も2019年に35報、2020年に32報とたくさんの報告が有用性について報告しています。2020年には総説論文が出て利点と課題をまとめていくれています。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1050173819301495?via%3Dihub

Apple Watchの心電図機能は1つのツールとしての有用性はあるというのが結論でしょう。

不整脈の気付きにはよいツール

ここからは私なりの意見を述べたいと思います。例えば期外収縮を持つ患者さんは結構いらっしゃいますが、症状があったと診察時にお話をうかがっても受診時には心電図では何もとらえられない、ということはよくあります。もちろん24時間記録できる心電図検査などを実施するのですが、なかなかタイミングがあわなかったりします。こういう患者さんは多くの場合、重篤なことには至らないとは思います。そんな時にApple Watchは役立てるんじゃないかなって思います。不規則な心拍は通知してログに残してくれています。それをもって診断したりはできませんが、少なくとも参考になると思います。患者さんは症状と一致していれば自分の不整脈の気付きにつながります。気軽に気付くことができるというのが強みでしょう。

Apple Watchは過信せずきちんとした検査を

何度もくり返しになりますが、技術的なことデータがまだまだ不足していることなどによりApple Watchだけで診断には用いることはできません。不整脈は参考になりますが狭心症や心筋梗塞には役立てないと思います。それは様々報告ではっきりと指摘されています。適切に利用して次の検査につなげる。そういうきっかけには最適です。気になる通知を受けていたら、きちんとかかりつけ医と相談しておきましょう。

心電図アプリよりも異常な心拍通知機能が有用

ついつい心電図アプリがクローズアップされがちですが、普段から使うには敷居が高いアプリです。起動して手を机において指をクラウンにあてて30秒またないといけません。これって結構めんどうで習慣化するのは難しいです。でも心拍通知は自動的にしてくれます。こういう体の状態をモニターして異常があれば通知してくれるのがApple Watchの醍醐味であり価値だと思います。私の体験からも心拍通知はなかなか優秀でした。酸素飽和度も同様にモニターしていざという時に通知することに意義があるのでしょうが、心拍の方が有用性は高いと思っています。

血糖や血圧が測定できると嬉しい

Apple Watchは年々進化してセンサーが増えて優秀な健康トラッカーになってきています。将来は血糖値や血圧を測定できるようになるという報道もされています(血糖は次期モデルで搭載かもって報道ありました)。血液をとらない血糖値測定は近年ようやく医療現場で見かけるようになっていますが、まだまだ一般的はではありません。しかし参考程度であれば可能です。精度がどれぐらいかが評価の分かれ目かな。血圧は脈圧から推定するような感じなのでしょうが、精度はどうなるんでしょうね。腕で測る血圧計にはかなわないでしょう。しかし参考程度にでもモニタリングして異常があれば知らせて気付きをもらえるのが何よりも素晴らしいことだと思います。まだまだ進化が楽しみで期待したいところです。

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